トランクルーム市場はどこまで成長するのか?

年々成長しているトランクルーム市場ですが、この度、(株)矢野経済研究所から、2018年度の「国内の収納サービス(レンタル収納・コンテナ収納・トランクルーム)の市場トレンド調査結果」が発表されましたので、その内容を分析してみたいと思います。(2018年度=18年9月~19年3月)調査は、トランクルーム等収納サービスを提供する事業者や業界団体等にヒアリングおよび収納サービス拠点データを対象に行われました。

 これによると、2018年度のトランクルームの市場規模は、743億3,000万円と推計され、これは前年度対比プラス6.7%となっています。

 トランクルーム市場規模は2013年度に500億円を超え、2015年度に600億円を超えました。そして2016年度は652億円、2017年度は697億円となっていましたが、2018年度は700億円を大きく上回ったと推測されます。 市場の6割程度は首都圏の需要で、現在は需要に偏りがあります。しかし、今後は全国的に広がつて行くものと思われます。

市場拡大の背景には、アメリカでは既に一般的に使われており、市場規模もはるかに大きいことから、これまでは、同業界大手企業や地域の有力事業者が中心だったものから、新規参入事業者が増えている事が考えられます。また、こうした企業の積極的な展開で、収納拠点数が増加している状況です。その結果、広く認知度が向上し、需要増が続いており、市場は堅調に推移している状況です。

どこまで市場は成長するのか

矢野経済研究所のプレスリリースによると、「2020年度の収納サービス(レンタル収納・コンテナ収納・トランクルーム)の国内市場規模は829億3,000万円」と予測されており、これは2011年度比で約1.8 倍の市場規模に達することになります。

特に、3大都市圏では、地価上昇・住宅価格の上昇が続いており、これにより、ファミリー向け物件では、想定よりも狭い物件の購入に踏み切る方が多く、トランクルームの活用がさらに広まると思われます。

では、どんな要因により、トランクルーム市場は広まっていくのでしょうか。トランクルーム市場が広まる要因を考えてみましょう。

 まず、①トランクルームの認知度が高まることが求められます。トランクルームに荷物を保管する(預ける)ことは、日本においてはまだまだ一般的ではありません。特に地方都市においては、その傾向が強いと思います。「まだ、ガラケー使っているの・・?」 という感じで、「まだ、冬にしか使わないものを家の収納スペースに置きっぱなしなの‥?」 という状況になるときが遠からず来ると思います。

 そのためには、②トランクルーム企業数の増加 と収納スペースの拠点数の増加が必要です。

市場が広がらなければ、参入企業数も増えないし、拠点数も増えないのでは、とも思われますが、ある程度の利便性つまり、収納スペース近くにある、または、エアトランクのような宅配サービス型のトランクルームのサービスエリア範囲に入っている、という状況にならなければ、利用することができないので、市場は拡大しません。

市場が大きくなるには、認知度と、身近にあることという環境が整う事といった、ストレージ企業の企業努力に加えて、需要増加可能性が高まることも必要です。

具体的には、④住宅価格・住宅賃料が高くなることです。住宅価格が高くなり、しかしそれに伴い収入が増えなければ、希望の広さをあきらめて、一回り狭い住宅を購入することになります。

これは、賃貸物件においても同じことが言えます。そうすると、入りきらない荷物が発生する可能性が出てきます。すると、捨てるか、どこか別の場所に保管するか、の選択になります。「もったいない」の精神が広がる日本では、なかなか捨てられない方が多いようです。そうすると、トランクルームの需要が高まると思われます。

このように、住宅価格・賃料が高くなると、⑤トランクルーム利用付きの物件が広まる可能性があります。

エアトランク社では、いくつかのデベロッパー・賃貸物件管理会社との契約がすすんでいます。すでに、宅配サービス型トランクルームの利用権がついた新築マンションの販売が始まっています。また、賃貸マンションにおいても、家賃にエアトランク社の宅配サービス型トランクルーム利用権付きの物件が広まりつつあります。

このように、「始めから宅配サービス型トランクルーム利用権が付いた」物件が増えています。

1~5は、トランクルームの一般個人需要が広がる要因です。これに加えて、トランクルームの法人需要も徐々に増えてきています。現在は、オフィッスビル賃料の高まり、オフィッスビルの空き室の減少等、トランクルーム需要が高くなりそうな状況にあります。

こうした色々な要因が重なって、今後もトランクルーム市場は、堅調に拡大が進むでしょう。

吉崎誠二
吉崎 誠二 yoshizaki seiji
不動産エコノミスト
不動産エコノミスト 社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長 早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。 立教大学大学院 博士前期課程修了。 ㈱船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者 、(株)ディーサイン不動産研究所 所長 を経て 現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、全国新聞社、地方新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。   著書:「データで読み解く 賃貸住宅経営の極意」 (芙蓉書房出版社) 「大激変 2020年の住宅・不動産市場」(朝日新聞出版)「消費マンションを買う人、資産マンションを選べる人」(青春新書)等10冊。多数の媒体に連載を持つ 公式サイト http://yoshizakiseiji.com/
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