トランクルームファンドから見る、宅配型トランクルームの優位性

トランクルームを裏付け資産としたファンドがあります。また、アメリカに目をやれば、トランクルームのREITも存在しています。投資家はトランクルームの収益を分配金という形でうけとることができる仕組みです。トランクルーム投資の魅力は、長期的な収益の安定性、賃料の安定性でしょう。REITでは定番のオフィスや商業施設、住宅と比べ1単位の契約金額が小さく、かつ一度契約すると解約率も低いので、安定的な分配金が長期間期待できます。ある、記事によると、「アメリカのトランクルームREITのキャップレートはオフィスビルREITよりも低く、リーマンショック後にも、安定稼働を維持し続けた実績がある。」ということです。日本においては、まだトランクルームの上場REITはありませんが、今後登場すると思われます。

いま述べた、「キャップレート」とはどういう意味でしょう?

不動産への投資を行う場合、どのくらいの利回りを期待するのか? その答えは、投資を行う方の考え方によると思います。しかし、「どのくらいの利回りを期待している方が多いのか」については、自身の期待利回りについての妥当性の基軸となると思いますので、知っておくとよいと思います。

期待する利回りのことを「キャップレート」(正しくは,Capitalization Rate)と言います。

不動産投資の指標の一つで、「期待利回り」、もしくは「還元利回り」と訳されます。この指数は、不動産投資をしようとしている人がどれくらいの利回りを期待しているかが分かるものです。

賃料やそのほかの要因が一定だとすると、キャップレートの低下は不動産価格の上昇を意味します。それはつまり、「価格上昇でも、不動産投資、を行いたいと思う方が増える傾向にある」ということになります。

キャップレートは立地状況や投資不動産の種類(オフィスビル、ワンルームマンション、ファミリーマンション、商業施設、トランクルームなど)、そして賃貸住宅などでは、建築工法によっても変わってきます。

このキャップレートですが、高ければ良いとか、低ければ良いというものではありません。投資家が考えるリスクの差が数字の差を生んでいるのです。

分かりやすく身近な賃貸住宅のキャップレートで説明します。

2019年4月にARES(不動産証券化協会) から発表された「不動産投資短期観測調査」、最新(第27回:調査時点2018年12月)の調査分析のデータをもとすると、福岡賃貸物件(ワンルーム)のキャップレートは5%。つまり福岡の賃貸住宅に投資するならば5.0%程度の利回りが欲しいと投資家が思っています。一方、東京のワンルームは4%代前半と福岡よりも低くなっています。

これは、投資家は、たとえ利回りが低くても東京の物件に投資したいと思っているということであり、考え方を変えれば「東京の方がリスクが低いと思っている」とも言えます。キャップレートの高い物件を購入し不動産投資すれば高い利回りを期待できそうですが、キャップレートが高いということはつまりリスクも高いということなのです。

トランクルームファンドのキャップレートは、オフィッスビルREIT、レジデンスREIT、等のキャップレートよりも幾分高く、6~8%のようです。先ほどのべたようにキャップレートの高さは、リスクの高さともいえますので、比較ではリスクが高い投資といえます。

トランクルームの市場規模は、矢野経済研究所によると、657億円(2017年推計)、2020年までに777億9000万円に拡大すると予測しています。アメリカでは既に2兆円を超えているとされています。日本でも、これから少なくとも10倍の市場規模になると予想されています。こうした状況になれば、当然トランクルームのREITが登場すると思われます。

このように、市場規模拡大とともにトランクルームファンドが登場するのは、いまはまだ主流の、「自身で出し入れするタイプのトランクルーム」の場合、居住エリアの近くにトランクルームが必要だからともいえます。

郊外の大きな倉庫を活用する宅配型のトランクルームの場合は、セルフ型のトランクルームに比べて、不動産を都市部に取得(もしくは賃借)する必要はありません。こうした不動産価格(=倉庫価格)を低く抑えることができるわけです。また、都市型セルフタイプのトランクルームにおいてファンドでの資金調達を行うことは、その利益の一部(先ほどのべたように利益の6~8%分)を投資家に還元する必要があります。こうした費用は当然、間接的ですが利用者が負担することになります。このように考えると、費用を抑えたビジネスモデルが成立しやすい宅配型トランクルームの優位性が見えてくると思います。

吉崎誠二
吉崎 誠二 yoshizaki seiji
不動産エコノミスト
不動産エコノミスト 社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長 早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。 立教大学大学院 博士前期課程修了。 ㈱船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者 、(株)ディーサイン不動産研究所 所長 を経て 現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、全国新聞社、地方新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。   著書:「データで読み解く 賃貸住宅経営の極意」 (芙蓉書房出版社) 「大激変 2020年の住宅・不動産市場」(朝日新聞出版)「消費マンションを買う人、資産マンションを選べる人」(青春新書)等10冊。多数の媒体に連載を持つ 公式サイト http://yoshizakiseiji.com/
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