上昇続く東京23区の公示地価と設置型トランクルームの価格について

例年よりやや早めの2019年3月19日に公示地価が発表されました。 

公示地価は地価公示法に基づき、国土交通省がその年の1月1日時点の地価を毎年1回3月下旬に発表するもので、主に土地の取引の際の規準となるものです。今年も4年連続のプラスという事で、各メディアは大きく取り上げていました。

2019年1月1日時点の全国の公示地価(住宅地・商業地・工業地の全用途)は、昨年比1.2%のプラスで4年連続のプラスになりました。東京圏、大阪圏、名古屋圏の3大都市圏では2014年以降6年連続のプラス。しかも、商業地・住宅地とも、上昇幅が拡大していました。

今年の地価公示で特徴的だったことは、地方圏(全国から三大都市圏を除いたエリア)の住宅地でも27年ぶりにプラスになったことです。(プラス0.2%、昨年はマイナス0.1%)。不動産価格上昇の波は、確実に地方都市に波及しているようです。

2018年後半は不動産価格の天井感が広がり、メディアも都市部マンションで価格下落の予兆と言うような論調も多かったようですが、結果としては昨年以上の上昇幅になりました。 

東京圏、東京23区のとも7年連続の地価上昇

ここからは、東京圏、さらに東京23区についてフォーカスして検討してみます。

(東京圏とは、東京都区部、多摩地区や神奈川県の横浜・川崎市など、千葉県の千葉市・浦安市・船橋市など、埼玉県のさいたま市、川口市など、茨城県の取手市などを網羅した広い意味での東京エリアを指します。)

 2019年の地価公示において、東京23区(東京都特別区)全体では、住宅地が4.8%のプラス、商業地は7.9%のプラスになりました。東京都全体では、住宅地がプラス2.9%、商業地が6.8%でしたので、23区に限るとそれ以上の伸びになっています。いずれも、7年連続の上昇でまた上昇幅も大きくなりました。上昇幅はバブル期に及ばないものの、連続上昇期間はバブル期に匹敵する長期上昇になっています。

住宅地は地価の安い区部の上昇が目立つ

 続いて、上昇率が少ないのは、千代田区2.9%、葛飾区3.3%、練馬区3.3%、大田区3.3%となっています。

住宅地の公示地価を23区別に見てみると、23区全体の上昇率はプラス4.8%でしたが、それを上回っている区は、12区ありました。トップは、荒川区の8.6%、続いて台東区の7.2%、北区7.1%と続きます。これまで、23区の中では比較的安価だと言われてきた、23区の北東区部が上位を占めています。

上昇率に特徴が見える商業地

続いて、商業地を見て参りましょう。

商業地の公示地価を23区別にみてみると、23区全体では7.9%のプラスでした。それを上回わる区は12区あります。

最も伸び率が高いのは台東区の11%です。浅草・上野など、インバウンド観光客が多く集まるエリアが集積しており、ホテルなどの需要が益々高まっています。このエリアは、都心に近いながらも古い街並みのイメージで、住宅地としてかつてはそれほど人気がありませんでしたが、ここに来て利便性だけでなく街の活気が出たことで、住宅地としての人気も上昇しています。

2番目に高い伸びを示したのは、江東区で9.7%です。江東区は住宅地ではプラス5.5%と23区中9位となっています。豊洲や有明など湾岸(海上)エリアを多く抱える江東区はその利便性から住宅地としての人気は以前より高かったため、価格上昇はつづいているものの、ここに来て伸び率は中位になっています。しかし、清住白河等の江東区の古くからあるエリアの人気が最熱してきており、ここに来て商業地の上昇が高くなってきています。

3番目は荒川区で9.4%、4番目は渋谷区で9.0%となっています。渋谷区は渋谷駅周辺の再開発がどんどん進んでおり、高い伸び率が続いています。以下、北区9.0%、中央区8.9%の順になっております。

 東京23区の住宅地・商業地の地価の上昇は、大きな出来事がない限り、この先もしばらく続きそうです。


商業地地価の上昇は設置型トランクルーム利用価格の上昇を招く?

今述べたように、東京都区部においては、7年間にわたり、住宅地商業地ともに価格上昇が続いております。都心のやや古いオフィスビル等を利用した都市型の設置型トランクルームが増えていますが、今のような地価上昇が続くと、利用価格上昇の可能性が高まると思います。自らが出し入れを行うタイプのトランクルームの場合、どうしても人が多く集積する場所にトランクルームを設置しなければ、需要に応えることができません。そのため、都心の一等立地の地価がこれ以上上昇すると、厳しい現状になりえません。

一方、エアトランクのように郊外に倉庫を構えて、お客様のもとへ集配するタイプのトランクルームの場合、その影響はそれほどダイレクトではありません。

これからは、宅配型のトランクルールが主流になると思います。

吉崎誠二
吉崎 誠二 yoshizaki seiji
不動産エコノミスト
不動産エコノミスト 社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長 早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。 立教大学大学院 博士前期課程修了。 ㈱船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者 、(株)ディーサイン不動産研究所 所長 を経て 現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、全国新聞社、地方新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。   著書:「データで読み解く 賃貸住宅経営の極意」 (芙蓉書房出版社) 「大激変 2020年の住宅・不動産市場」(朝日新聞出版)「消費マンションを買う人、資産マンションを選べる人」(青春新書)等10冊。多数の媒体に連載を持つ 公式サイト http://yoshizakiseiji.com/
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