引っ越しの時に荷物を捨てられるか?首都圏中古マンション価格推移を読み解く

不動産市況を考察する際には、どんなデータに基づいて行うのがよいのでしょうか?

地価公示や路線価などは、公的な(国土交通省や都道府県)データで、メディアも大きく取り上げる最もベーシックな数字です。しかし、どちらも1年に1回の公表ですので、タイムリーなデータとは言えません。こうしたデータは長期スパンでの分析には向いていますが、最新動向分析にはあまり向いているとは言えません。

一般的に、日本の都市部における不動産、特に住宅系の市況分析に、最も適していると言われているのは、「中古マンションの売買データ」です。ちなみに、日本の住宅価格指数のようなINDEXは、中古マンションの成約データに基づいて算出されますが、アメリカにおいては中古戸建の成約データを使用します。こうしたことからも、日米の住まい環境の違いが分かりますね。

今回は首都圏の中古マンション価格の推移を見ながら、住宅の市況を分析してみましょう。

 

首都圏の不動産市況はいつから好転したのか? アベノミクスではない!

首都圏の中古マンション価格は2013年の初めごろから値上がりし始めました。

住宅着工戸数などは、2012年の秋ごろから増え始め、マンション価格も同時期から徐々に上がり始めましたが、はっきりとし始めたのは2013年の年初くらいからでした。

自民党政権に変わったのが、2012年12月26日ですから、それよりも以前から不動産価格上昇の兆しがはっきりと出始めていたのです。また、日銀総裁に黒田氏が就任し、量的緩和政策としょうして低金利政策を打ち出したのが2013年4月から。アベノミクスとして、政府が大胆な経済政策を行ったのもその頃です。つまり、これらの政策以前から不動産価格は上昇基調に乗り始めていたということです。確かに金融緩和政策がその上昇機運に弾みをつけ、さらには上昇基調維持をもたらしたのは事実ですが、上昇離陸タイミングは、民主党政権時代だったと言えます。(次項図1参照)

 

首都圏の中古マンションはどれくらい値上がりしたのか

では、どのくらい価格上昇したのでしょうか?

■成約件数の推移

 

■成約㎡単価の推移

(公益財団法人 東日本不動産流通機構「月例マーケットウォッチ」より作成)

 

図1は、2011年1月~2018年4月までの首都圏における中古マンションの成約状況の推移を示したものです。東日本不動産流通機構(レインズ)のデータで、左は、成約件数、右は成約㎡単価を示しています。

成約件数ですが、不動産(特に住宅)の成約には季節要因が大きく影響します。真夏や12~1月等は成約事例が少なくなります。そのため、成約件数グラフは、ギザギザ型になります。しかし、ギザギザがありながらも、2011年から2014年にかけて増えていることが分かります。その後、2018年にかけては、件数は概ね横ばいという状況です。

 

一方、右のグラフは平米単価を示していますが、こちらは、2013年に入った頃から右肩上がりであることが、はっきりと分かります。2013年年初から2018年年初にかけて、平米単価で約14万円上昇しています。標準的なファミリータイプ物件は70㎡くらいですから、1000万円程度の値上がりとなります。首都圏全体(東京、神奈川、埼玉、千葉)でこの上昇ですので、東京23区に限れば、さらにこの倍近い値上がりと言えそうです。

 

新居への引っ越し、荷物を捨てられるか?

マンション価格の上昇に伴い、想定購入金額がそのままなら、ひとまわり小さな部屋しか購入できないという状況になっているようです。先日引っ越し業者の方とお話ししていると、「引っ越しは、断捨離の大きなチャンス」と言っていましたが、しかしその後続けて「でも、断捨離する方は少ない。日本人はモッタイナイ精神から、捨てることが苦手だ」と付け足していました。逆に、引っ越しをすれば新しいモノを買いたくなるという方のほうが多いようです。捨てられずに新しいものが増える、現在よりもだいぶん大きな部屋を購入すれば、収納スペースも問題ないと思いますが、そうでなければ考えものです。そんな時に、トランクルームの活用を考えてはいかがでしょうか。

吉崎誠二
吉崎 誠二 yoshizaki seiji
不動産エコノミスト
不動産エコノミスト 社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長 早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。 立教大学大学院 博士前期課程修了。 ㈱船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者 、(株)ディーサイン不動産研究所 所長 を経て 現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、全国新聞社、地方新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。   著書:「データで読み解く 賃貸住宅経営の極意」 (芙蓉書房出版社) 「大激変 2020年の住宅・不動産市場」(朝日新聞出版)「消費マンションを買う人、資産マンションを選べる人」(青春新書)等10冊。多数の媒体に連載を持つ 公式サイト http://yoshizakiseiji.com/
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