不動産市況 2018/06/13

新築着工戸数で見るマンションの広さの推移

新築分譲マンションは狭小化が進んでいる

国土交通省のオープンデータ「新設着工戸数」では、新設戸数だけでなく、総面積も公表されています。

メディアでは、どれくらい建てられたか?つまり戸数が取り上げられることが多いようですが、「総面積」をみることで、多面的な分析ができます。

ここでまず、新築分譲マンションを、「利用関係:分譲住宅,建て方:共同住宅,構造:鉄骨鉄筋コンクリート造,鉄筋コンクリート造,鉄骨造」と定義します。

総面積を着工戸数で割った数値を「1戸当たりの面積」として算出したものが、図1です。

一般的に、マンションの1戸あたりの広さは、不動産価格上昇時には小さくなります。

坪単価が上がると、広さが同じだと総額が高くなります。住宅ローンは主に年収により借り入れ限度が決まりますので、不動産好況期に、それに応じて年収が上がればいいですが、概してそういう風にはなりませんので、平米数を小さくして総額をおさえた物件として販売されます。

バブル後期に、その傾向が見られました(80年台後半から90年代前半)。その後平均の広さは大きくなりますが、2001年の95㎡以降、新築分譲マンションの1戸あたりの面積は減少に転じており、2017年はピーク時より約20㎡狭くなり、76.8㎡でした。

 

地価と逆の動きを見せる新築マンション面積の推移

図表2は、地価公示の推移と重ねたものです。

バブル崩壊以降、地価は大きく下落していきます。その一方で、新築分譲マンションの1戸当たりの面積は、大きくなっています。

背景には、地価が下がることで広い用地を取得出来るので1戸あたりの面積も大きく出来るということだけでなく、出来るだけ価格を下げたくないという販売側の思惑も1戸あたりの面積を大きくする一因でもあるようです。

一方で、2006年頃からの不動産ミニバブルによって地価が10%上昇した際も、マンション面積は5%小さくなりました。

マンションの広さと地価は少なからず関連性がありそうです。

 

不動産投資ブームでマンションの面積も縮小傾向に…

昨今の不動産投資ブームで、新築の投資用マンションの着工戸数も増えています。

■投資用マンションの発売戸数の推移

((株)不動産経済研究所「2017年上期及び2016年年間の首都圏投資用マンション市場動向」)

 

2002年以降リーマンショックまでは首都圏でも年に8000戸ほどの新築投資用マンションが建てられていました。

投資用マンションはそのほとんどが、20㎡~30㎡のワンルームタイプなので、これらの増加も新築分譲マンションの面積減少の一因になっているようです。狭いマンションが増えると、収納スペースも小さくなることは、いうまでもありません。こうした局面ではトランクルームが役立つかもしれませんね。

吉崎誠二
吉崎 誠二 yoshizaki seiji
不動産エコノミスト
不動産エコノミスト 社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長 早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。 立教大学大学院 博士前期課程修了。 ㈱船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者 、(株)ディーサイン不動産研究所 所長 を経て 現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、全国新聞社、地方新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。   著書:「データで読み解く 賃貸住宅経営の極意」 (芙蓉書房出版社) 「大激変 2020年の住宅・不動産市場」(朝日新聞出版)「消費マンションを買う人、資産マンションを選べる人」(青春新書)等10冊。多数の媒体に連載を持つ 公式サイト http://yoshizakiseiji.com/
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