どんな、トランクルームがこれから求められるのか?

最近、「トランクルーム」という看板をよく見かけるようになりました。都市部のはずれあたりの幹線道路を走っていると、倉庫型のトランクルーム、ビル型のトランクルーム、規模の大小様々なトランクルームを見かけます。

また、分譲マンションでは、「トランクルーム付き」物件が増えています。かつては、ある程度大きな規模のマンションでも、地下に10室くらいのトランクルームしかなく、最上階のプレミアムフロアの住人が優先的に使え、あとは順番待ちというように、マンション全戸分トランクルーム設置というのは、ほとんど見かけませんでした。しかし、最近のマンションでは、内廊下タイプが増えたことで、玄関出てすぐのどちらかのサイドにトランクルームが配置されているというパターンもタワーマンションなどでは時折見られるようになりました。

エアトランク総合研究所がお届けする第1回目のレポートは、トランクルームが増えている背景と、これからどんなトランクルームが求められるのか?について検討してみたいと思います。

 

マンション購入希望者へのアンケートの最重要項目の1つ

分譲マンションを購入希望している方々へ「どんな物件がいいですか?」というアンケートを取ると、価格、立地という物件選択のベースともいえる項目が来ます。そして、その次には、「収納スペースが広いこと」あるいは、「工夫されていること」という項目がたいてい来ます。

分譲マンションの購入時には、現実的な要件である「価格」「立地」、また、家族構成やライフサイクルに影響される「間取り」、という如何ともしがたい項目の次に重要視されるのは、「収納」というわけです。

また、賃貸物件を選ぶ際の入居者への賃貸物件に対する要望アンケートをとると、こちらも同様に、賃料(価格)、立地という現実的な要件が上位となります。

 

トランクルーム付きマンションに住むメリット

すっきりとした部屋に住みたい。

そう思う人は多いと思います。特に近年は「断捨離」ブームで多くの持たない暮らしが好まれています。

しかし、そうは言っても「気に入ったものを見つけると、つい買ってしまう。」買い物は止められない。「なかなか、捨てられない」愛着が沸いたり、まだ使えると思うと勿体なかったり・・、部屋にモノが溜まるいっぽうです。

でも、部屋はすっきり片付けた状態でいたい…。そんな思いが、アンケートで「収納が多い部屋希望」と書かせてしまうのだと思います。

 

冒頭で述べたように、トランクルーム付きマンションは増えています。マンション内に(部屋の外:玄関近くor地下等別フロア)トランクルームがある、メリットはなんでしょう。

何と言っても、いつでも出し入れできるということでしょう。

別の所に、トランクルームを借りるとなると、首都圏など都市部の場合はたいてい、自宅からかあり離れた場所にある場合がほとんどで、わざわざそこまで行かなければならず、手間がかかります。

 

また、月額の使用料もかからず済むことも大きなポイントです。23区内ですと、場所や大きさ、その他条件によって様々ですが、1畳で1万円程度はかかります。かつてのような地下に10室だけあるようなトランクルームの場合は、使用料が掛かりますが、最近のような全部屋にあるタイプは、たいてい使用料はありません。もちろん、そのスペースも物件価格に含まれているわけで、具体的には使用権を買っている訳です。

 

マンションデベロッパーも積極的にトランクルームを推進?

トランクルームは入居者にとって利便性が高いわけですが、では、どうしてデベロッパー側も、時に積極的に設置するのでしょう。 もちろん、一番は購入者の希望が多いためですが、他の側面もあるようです。

 

建築基準法には容積率という規制があります。「この場所のこの広さでは、このサイズの建物までしか建ててはいけません」、というルールです。もともとは、インフラの耐用を守る為に制度化されたものです。ある場所にとてつもなく大きなビルやマンションができて、一気に人が増えると、上下水道、電気などのインフラがパンクするので、規制するということがスタートでした。いまでは、このような役割よりも、「この辺りは高い建物、この辺りは低層・・」といった、建物誘導のイメージが強くなっています。

建築基準法では、都市計画区域および準都市計画区域内において、用途地域の種別や建築物の構造に応じて、容積率の限度が定められています。例えば、容積率の限度が200%と定められている地域にある土地の場合には、100㎡の土地には、延床面積200㎡までの建物しか建てることが出来ません。(厳密には、前面道路の幅やその他さまざまな要因で上限が決まります。)

デベロッパー視点で考えると、同じ広さの用地にできるだけ大きなマンションを建てたいと考えます。そのため、出来るだけ容積率が大きい方が収益増につながります。容積率と採算性は密接に関係しているわけです。

 

大型マンション、あるいはタワーマンションが増えた大きな要因となる法令が1997年9月から施行されました。それが、「容積率の緩和措置」です。これは、本来であれば延べ床面積に含まるものが、容積率の計算においては含まないとする措置のことです。つまり、容積率に含まれない分(緩和された分)延べ床面積を増やすことが出来るので、より有効的に用地を活用することが出来ます。この容積率の緩和措置には、以下のようなものが含まれます。

  • 駐車場・駐輪場:延べ床面積の豪快の5分の1を限度
  • 地階の住宅部分:住宅部分の床面積の3分の1を限度
  • 共同住宅の共用部分:共用廊下、共用階段、エントランスホール、エレベーターホール、トランクルームなど。(平成9年9月1日施行)

3つ目の項目にトランクルームの事が出てきました。「トランクルーム」も容積率の計算で延べ床面積に算入されないため、その分住戸部分の面積を増やすことが出来るわけです。

このような背景から、最近ではデベロッパーも徐々にトランクルーム設置マンションを増やしているようです。

 

しかし、現実は・・それほど多くない?

それでは、実際にどれくらいの物件にトランクルームが付いているのでしょうか。

 

2018年5月中旬のある日に、住宅情報サイトLIFULL HOME’Sに掲載されていた東京23区内の新築マンションは365件でした。その中で「トランクルーム付」というキーワードで抽出されたのは、32件、全体の1割ないくらいでした。その中で、物件情報にトランクルーム面積が掲載されていた16物件の平均面積は、1.06㎡と1畳にも満たない。最も大きいものが3.56㎡、最小となると0.28㎡となっており、これではスーツケース1個がギリギリくらいでしょうか。

 

従来型トランクルームのデメリットを解消するサービス

ここまでをまとめると、以下の4点となります。

  • トランクルームのニーズは高まっている。
  • しかし、一般的なトランクルームは比較的に近くにないため、出し入れが面倒
  • 容積率の緩和もあって、最近のマンションはトランクルーム付き物件が少しずつ増えている。
  • 増えているものの、トランクルーム付き新築物件は、まだまだかなり少ない。

ここまでの事から今後のトランクルームについて考えてみましょう。

トランクルームには出し入れが便利であることが求められているようです。従来型のトランクルームでは季節の物(つまり、使用頻度が時期において偏りのあるもの)くらいしか、置かなくなってしまうかもしれません。マンション棟内にない場合、トランクルームには、この「出し入れが面倒」というデメリットが解消されるサービスがあれば、いいと思います。

エアトランク社が提供しているサービスは、まさにこの「従来型トランクルームのデメリット」を解消したものということになります。

吉崎誠二
吉崎 誠二 yoshizaki seiji
不動産エコノミスト
不動産エコノミスト 社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長 早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。 立教大学大学院 博士前期課程修了。 ㈱船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者 、(株)ディーサイン不動産研究所 所長 を経て 現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、全国新聞社、地方新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。   著書:「データで読み解く 賃貸住宅経営の極意」 (芙蓉書房出版社) 「大激変 2020年の住宅・不動産市場」(朝日新聞出版)「消費マンションを買う人、資産マンションを選べる人」(青春新書)等10冊。多数の媒体に連載を持つ 公式サイト http://yoshizakiseiji.com/
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